2008年03月11日

後期高齢者医療制度

さて新年のブログに書いた後期高齢者医療制度についてですが・・・

医師会の医政勉強会などにも参加しましたが、まだ(この時期でも)輪郭しかわかっていないようですが・・・
4月からこの制度がとにかく始まってしまいます。そうすると後期高齢者(75歳以上)は現在加入している国保や健保を脱退させられ、後期高齢者だけの独自の保険に組み入れられます。
現行制度との大きな違いは、家族に扶養されている人を含めすべての後期高齢者が保険料の負担を求められ、大多数が「年金天引き」で保険料を徴収されるようになることです。保険料額は、今後、条例で都道府県ごとに決まる予定ですが、月6000円になると政府は試算しています(しかし北海道の試算では月7600円強)。介護保険料(全国平均4090円、札幌市は4200円強)とあわせると、多くの高齢者が、毎月1万円以上を年金から「天引き」されるのです。日本という国は年金を国が泥棒しておきながら誰も責任をとらないし、国に貢献してきたお年寄からも搾取する国ということがわかりました。この国で長生きしてもロクなことないですね。
さて、今までは75歳以上の高齢者は、障害者や被爆者などと同じく、“保険料を滞納しても、保険証を取り上げてはならない”とされてきましたが、今回の制度改悪により、滞納者は保険証を取り上げられ、短期保険証や資格証明書を発行されることになりました。また、保険料は2年ごとに改定されますが、後期高齢者の数が増えるのに応じて、自動的に保険料が引きあがるでしょう。
また錯綜していた後期高齢者のかかりつけ医の名称は「高齢者担当医」と決まりました。後期高齢者の治療の年間計画を月6000円の包括払いで立てる役割が与えられるそうです。75歳以上の人の治療の年間計画って何?意味があるの?と思ってしまいますね。また6000円でできることはたかが知れていますし、包括払いなので検査などをすればするほど診療所や病院が赤字です。
基本的に高齢者担当医からの紹介で他の医療機関に受診となります(フリーアクセスの制限)。高齢者担当医になりたい医師は研修会を受講することとなっていますが現時点でも案内が来ません。どうなっているんでしょうかね。
後期高齢者医療制度になっても、医療費の窓口負担は、「原則1割」「現役並み所得者3割」で変わりません。ただし、政府は、後期高齢者とそれ以下の世代で、病院・診療所に払われる診療報酬(医療の値段)を別建てにし、格差をつけようとしています。すなわち後期高齢者には安い診療報酬ですませようとしているのです。
これが導入されると、後期高齢者に手厚い医療をする病院・診療所ほど経営が悪化するようになり、高齢者は、“劣悪医療”や“病院追い出し”をせまられることになります。このように、「後期高齢者医療制度」は75歳以上の高齢者を他の医療保険から切り離すことで、「保険料値上げ」や「医療内容の劣悪化」となる制度です。
私たち医療者もそうですが、75歳以上の方や75歳以上を支える御家族には怒りをもっていただき政府のやり方に猛省を促し、この制度を廃止の方向にもっていってもらいたいものです。
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マスコミの皆さんももっと批判して欲しいものです。
そうしないと世論は形成されません。

追伸:3月27日の医師会の会では「フリーアクセスは制限されない」と役人は強調していたそうです。本当かな?

Posted by hiroki at 2008年03月11日 17:19 | 編集