東京で勤務していた当時44歳の小児科医の自殺が過労→うつ病→自殺と判断し、労災と東京地裁は認定しました。非常に画期的だと思いますが、今後の医師の勤務体制が大きく変るでしょう。私も含めて勤務医時代は当直(泊まり勤務)明けでも看護師は休みですが、医師は外来や入院の診療を行うのが当然でした(現在もそうでしょう)。これでは当然連続30時間以上勤務となります。今、日本の特に地方では「医師不足」が騒がれていて、特に産科や小児科が喫緊の課題です。政治家や官僚は「集約化」という言葉を使って「医師を地域の基幹病院に集める」ということを目論んでいますし、実際進行しつつあります。しかし、北海道は広いし半年間は雪に閉ざされるのです。これでは患者さんの移動距離が長く、冬は危険を伴います。子供や高齢者、妊婦さんなどには大きな負担と不安を抱えさせるシステムと思います。
話が多少ズレましたが過労→うつ病→自殺が労災認定されたのは有名な広告代理店の過労自殺が最初でした。今回小児科医に過労自殺が労災認定されたのは初めてだそうです。でも・・・さっきの事とも関連しますが、東京の大きな病院で起きた事件なんです。東京には医師は大勢います(小児科医はわかりませんが)。東京で過労自殺が出たなら北海道を含めた地方は さらに過酷な条件で働いている医師が大勢いると思います。今後の医師の労働条件(当直明けには帰宅して休む等)の改善に注目したいところです。
ちなみに医師に限らず、最近は過重労働(単月100時間以上の残業、複数月で連続80時間以上の残業など)→心疾患、脳血管疾患で死亡したり、メンタル不全(うつ病など)で社員が自殺となると、最近の動向では事業所(会社)が必ず裁判で負け、多額の賠償金を支払わなくてはならないのです。
私は産業医をしているので安全衛生委員会では必ず残業時間の話題&必要なら改善勧告をするように心がけています。